京生まれ料理屋育ち4

京生まれ料理屋育ち4

最後の決めてとなったのは大声での
「息子の命がかかっとんのや!!」
の一言だった。
いつものように恐らく真っ赤な怒り顔で
捲し立ててくれたのだろう。
そこまでは中々首を縦に振らない、更には、逆に言葉を荒げて絶対無理と言い返されたり
、お互い喧嘩口調になって、
終いには勝手に移動していけ、カルテも出さんと言い放たれたり。かなりの言い合いの果ての最後の父の言葉に院長先生は根負けしてくださった。救急車を手配してくれカルテも付けて直ぐに転院の準備にかかってくれた。更には看護士さんも救急車に一緒に乗ってくれることになった。
揺るがない信念を持った、誰も逆らわない調理場の父がそこにも現れたのだろう。

未だに激しい頭痛と吐き気に襲われながら朦朧としている僕に看護婦さんが優しく話しかける。
「移動しますからね。」
勿論なんのことかは解らないまま助けてもらえるのかな、この苦しみを無くしてもらえるのかなとうっすらぼんやり思った。
そのせいもあってか救急車の乗り心地はよくうつらうつらとした時には日赤についていた。日赤についてからは時間が早送りされてるかの如く全てが足早に進んでいった。
ついたとたんに
「検査しますね~」の掛け声とともに、
耳がちくっとしたり、大きなトンネルに入ったり。
「直ぐに緊急手術です!」なんて言葉が耳に入ったとおもったら
髪の毛を全部剃られ始めた。